治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
「帰り道を繋げたとき、どうにも“重かった”と思えば、客人を連れてきたのか」
アリスの頭を撫で、さながら客人を出迎えるように彼女は立ち上がりこちらを見た。
綺麗な人に合うドレスだった。
ビスチェのロングドレス。
肩紐がなく、スカート部分の丈が長くてボリュームがある、華やかなドレスだった。
胸元ががっつりとあいていて、肩部分が晒されるドレスを着るにはそれなりのプロポーションが求められるのにまったく違和感がない。
華やかなドレスでグリフェンドールの貴婦人たちが思いつくが、彼女の場合は段違い。
服は着る人を選べず、服を選ぶのは人だ。
華やかな綺麗なドレスであっても、着る人でその印象がだいぶ変わる。
無理して着ているなと思われれば、服の価値だけでなく、己が魅力も欠ける。グリフェンドールの貴婦人はほとんどがそれだったというのに。
オーダーメイドでもしたかのように、彼女には華やかなドレスで不自然というものが存在しなかった。