治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
真紅色と黒色が混ざったような赤銅色は、紅茶みたく深みがある色だった。
指から二の腕まであったロンググローブも同じ色。
銀髪を後ろでまとめて、金色の髪飾り一つで整えるのもまたいい。
不完全がないような綺麗な存在。
一目見ただけで、この楽園の主だと分かる彼女が。
「ようこそ、おいでなさった。可愛らしい娘とその他一匹」
頭を下げずに挨拶をしてきた。
堂々とした感じ、偉そうだけど、彼女の偉大さを見ただけで受け取ってしまった私には文句もない。
逆に挨拶をしない私を迎え入れてくれたのには感謝だ。
「あ、あの……、ラグナロク様、ですか」
「時にはそう呼ばれてはおる。長年生きていると色々な名がつけられるものでな、そなたの呼びやすいよう好きに呼び、我という存在を認識せよ」