治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
彼が辺りを見回す。
見回したうえで、ラグナロク様に言葉を投げた。
「この場所を、砂漠にするのはあなただって嫌なはずだ。何よりも、ここには互いに“大切なもの”がある。
歳をとっている分、あなたは“身内の死”に敏感になっているはずだ。第一、マトリョーシカも、ネクロマンサーも、あなたがいなくなってはこれから先に支障が出る」
「だから、力を抑えろと?忘れるなよ、シブリール。力を抑えようが、魔術は凶器だ。凶器は人を傷つけるためにあり、傷ついた人間はいずれ死ぬ」
「忘れてなどいないし、俺も死ぬ覚悟ぐらい出来ている。彼女のお願いだ、命を賭けても叶える価値はある。
ただ、だ。死ぬ確率を低くしても構わないだろう。残したくないモノが互いにあるのだから」