治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


「立派、立派。ふふ、久々に胸おどる。

誓おう、ラグナレク。褒賞はそなたが望む、魔導書の一ページ。どれでも好きな幻想を持っていくがいい」


言って、ラグナロク様はクロス上にあるベルを――砕いた。


砕かれたベルが、クロスの上で破片となり、散らばる。


散らばった破片、それが宙にと上がり、白い布をズタズタにしていった。

ティーセットも例外なし。陶器だとか、食べ物だとかは関係なく、どれもがハサミで紙を切った時みたいに切れていった。

液体とて同じ。紙吹雪みたいな光景が出来上がり、やがては砂粒となった。


砂粒が風に運ばれる。


まっさらな区画になった場所で。


「ユリウス、昨日みたく俺の後ろに。可能な限り、俺の動きに合わせてくれ」


彼が、ラグナロク様に近づく。


五歩ほど出ただけで歩みは止まる。


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