治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


(二)


長い詠唱の後、彼が出した結果に、世界の終焉たる災厄は拍手をした。


見事だ、それにつきる。


足元にいる低脳小人は分かりもしなく、ただ、女を抱きかかえる男を見た。


女が意識をなくしただけで、他は変わりばえなどしない。


もう食っていいかと、呼び主に向くが、待てと目だけで叱られる始末。


「力の制御など本当にもったいない。こんな阿呆どもしか呼べず、余と一緒に帰還せし黄昏の祝福も出来ないのぅ。

おかえりと言うべきか。最強の化け物よ」


拍手をやめ、自分の前に立つそれに話した。


当の人は、ラグナロクの言葉に耳もかさずに、しきりと抱える者の体を触っている。


「ああ、どんどん冷たくなっていく……。大丈夫、すぐに終わらせるからね」


甘い声。
甘えているようであって、どこか寒気を覚える感触があった。


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