治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
別に彼が私にベタつくのは日常茶飯事だけど、今回は何か違う。
雰囲気というか、何だか重々しい。
「シブリール、さん……?」
「ああ、ごめん。何だか、眠れそうにないね。このまま、また…………」
ふと、彼が辺りを見回した。
微笑が消えて無表情。
ミーアキャットが、穴(巣)から外に出て、敏感に辺りを探るそれに近い。
わけが分からずに、私も辺りを見回す前――
「ちょ……!」
彼が立ち上がった。
手を握られたまま立つものだから、私もつられて立つ。
意志とは関係なしの立ち上がりで、体がバランスを崩しそうになるが、彼が無理やりに手を引いた。
こけそうになる。
見れば、私の前には彼の背中。
どうやら私を立たせて、自分の後ろに移動させたよう。
動かない背中は、彼の目線が一点に集中していることを意味している。