治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
木々が生い茂る闇のまにまに。
何もなさそうに私は見たのに。
「出てきたらどうだ」
大きな、それでいて冷たい声で。彼は闇に話しかけた。
そこからだった。
木々の間から、“目”が出てきたのは。
いきなり、ぽつぽつと光が溢れたのだ。
夜にいきなり出たホタルのようで目にも見える。
ホタルに比べては、大きくオレンジ色の目だが。
「…………」
押し黙る。
誰かがいた。
“目”の数に比例して、人数は多い。
彼が警戒をしているんだ。あきらかに、迎えるべき相手じゃないのだろう。
茂みが鳴る。
まばらであっても、あることを想像させる茂みの音は足音と共に。
「よく分かったじゃねえか」
かすれて男くさいような声がした。