治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
夜でまだ春なりたてというのに、森闇から出てきた男は随分と薄着だった。
不衛生、不潔。それだけならまだしも、ハエがハエで群れるようにその男に似た奴らがわんさかと出てくる。
何がおかしいのか、森闇から出てくる奴らは、誰もが笑っていて。
――例えるなら、エサを見つけ出した獣のように。中には息を荒げた奴もいる。
皆、男。
シブリールさんの真後ろからこっそりと数えれば、十二人いた。
「シブリールさん……」
彼の腕を掴む。
その掴んだ手に、大丈夫だよ、と優しい意味がこもった彼の手が重なった。
声をかけてくれなかったのは、彼が目前の敵を警戒し続けたため。
横顔しか見られなくとも、目つきが鋭いのぐらい分かる。