治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
最善の策を拒まれてしまった。
何でと聞く前に、私が逃げようと後ろを向いただけで――逃走不可だと教えられた。
後ろにも、男たちがいた。
そちらは四人だが、逃走経路の障害には充分。
柵にいるニワトリの気分、逃げも隠れも出来ない状態にはさすがに焦るのに。
「消えろ、盗賊ども。貴様らに分け与えるものなど何もない」
冷静さを欠かない彼がいた。
頼もしいと言えばそうだが、無謀にも見える。
多勢に無勢で、無勢側の私たちがこんなに強気だとまずくはないか。
「んだって、てめえ!」
「ああっ、なまいってんじゃねえぞ。おらぁ!」
現にまずかった。
いたるところから野次が飛ぶ。
うわぁ、と肩をすくめてしまうほど耳障りな野次。