治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
責任ある彼だが、別段気にしていない様子で盗賊たちの野次を聞き流している。
――ただ。
「ほう、ハエに集(たか)られる“脂肪”は、出来るらしいな」
微かに口を綻ばせて、意味が分からないことを言っていた。
彼の視線にあるのは、脂肪の塊たるお頭。
何を感じ取っているのか、彼の眼差しは見えない何かを見ているようだった。
「なにをごちゃごちゃと。お頭ぁ、ちょちょいとまたやって下さいよ。みんな、女待ち遠しいんですからね」
まだ言うかと私共々、彼まで薪を手にする。
太った頭は、隣からそう促されて、ぬっすりした動作で私たちを見て――
「お、おで……、男の方、が……いい」
冷たい風が流れたような気がした。
凍結気分。
私だけでなく、頭の近くにいる奴ら全員の時がストップしている。
分かりやすかった。
人間、どん引きした時の反応というのは。