治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
どこからそんな余裕が来るのか。
どっちにしろ、戦うしかないと開き直っているのだろうか分からないが。
「“手”を見せろ、脂肪。相手してやらんこともないぞ」
彼が、一歩出た。
二メートル内の移動だけだが、相手が反応するには充分そう。
歯っかけ代理が何故か、お頭の後ろに回る。
その周りには誰もいない状態で。
「ひ……、火玉」
脂肪が手を見せた。
手のひらをこちらに向けたと思えば――魔術行使。
単純な詠唱に相応しく、行使されたのは拳大の炎を出すことだった。
脂肪で丸くなった手で回る炎はボールそのもの。
だが、人ひとりを致命傷にするには申し分ない殺人平気だ。
「魔術師……!」
身構えた。
奴らがああも、お頭を歓迎するのも分かる。