治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
知らなかった、こんな魔術。
派手な魔術だからこそ、その凄さがよく分かる。
村での生活しかしていない世間知らずな私かもしれないが、こんな大きなものを二、三の詠唱で出せるとは一般の魔導書にも乗っていない。
「どうした、先ほどまであった威勢はどこに消えたかな。
たかだか、こんな炎を出した程度で。――なあ?」
皆の注目を集める彼は、自ら出した炎(化け物)に語りかけた。
炎がこちらを向く。
目まであった、それには。
一個体として存在するような炎は、自在に操れるみたいだった。
面白げに、彼が指を振れば、炎がくるくると回る。
犬に芸をさせているのと変わりないが、やっているのは殺人道具の芸だ。
化け物が動くたびに、盗賊たちが悲鳴をあげる。