治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
もはや彼は観客ではない。
人々を震えあがらせる役者であった。
役者が次の宴目に移る。
手をあげて、小振りの円を描いた。
【一から百、千。分裂、固定。己が形は我が意志に】
描いた円は絵空ごとでしかないのに、彼が口を開けば、ある創作物が産まれた。
水玉だった。
水の塊。
余計な物質が混ざってないのか、透明な液体が空に浮き――割れた。
シャボン玉が割れるみたいにぱちりと、ただし、割れてもその水玉は消えなかった。
割れたしぶきから、また水玉が出来る。
分裂でもするが如く、米粒ほどまで小さくなった水玉は壁のように広がり宙に固まった。
「み、みず……!な、ない、しらない、そん……そんな……」