治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん
私が断ったことで、彼がこちらを向く。
お頭に向けたままの表情がそのままこちらに向いた――冷たい氷みたいな表情だ。
「権利……?おかしなことを。俺にはあいつらを殺せる“動機”があるんだ。
行動理由(動機)に、意味があるならば権利は存在するはずだ」
「その権利はあなたが彼らを痛めつけた時点で失われています。罪には罰は当たり前ですが、罪以上の罰を与える必要はありません。
第一、あなた一人で全ての罰を終わらせては……彼らに泣かせられた人の気持ちはどうなりますか」
「………。せいせいするんじゃないかな、悪い奴が死んで」
「いくら死のうとも、所詮、知らない場所で死んだ人。森で落ちた葉っぱに誰が“気づけますか”。
その人たちの罪は私たちだけにあるんじゃない。少しでも多くの犠牲者が報われるように、今あなたがやるべきことは、全ての罰を――死という制裁を下すことじゃない」