ばいばい

「…何見てんの?」


「あ。

美波とさっちゃんの背中見てたの。」


「…ぶっ!

趣味悪っ!」


「え?

なんで、そうなるのー!」


あたしたちはそのままの勢いで、靴を履いて外へ出た。


「もー、疲れたっ!」


「…はははっ!

でも楽しかった。」


「どこがっ!」


康は意地悪に笑って見せた。

だけど、その笑顔はどこか、優しくて…。

「あ、今日夜、暇?」


「夜…?別に何もないけど…。

何かあるの?」


「ある。

8時ぐらいに星見にいるから。」


星見は、あたしと康の家の近所にある、小さな公園。

今更だけど、あたしと康の家は、長い坂の上にあって、星見から眺めがいい。


あたしは、なんだか夜になるのが楽しみだった。



< 8 / 247 >

この作品をシェア

pagetop