隣の先輩
 辺りを見渡していると、頭に白いものをかけられた。


 手を伸ばしてそれに触ると、タオルだと気づく。


「それ、使っていいよ。折角の髪の毛が崩れちゃったな」


 私はタオルの下から先輩の顔を覗くように見ていた。


 気づいていてくれたんだ。


 一見して分かるくらいなので、特別ってことはない。


 でも、それでも嬉しい。


「足りなかったら、他にも持ってくるから。後は、ドライヤーとか使う?」


「あまり使わないから。タオルで大丈夫です」


「問題はその洋服だよな。俺の洋服を貸すわけにもいかないし、サイズも合わないから」


 先輩の洋服?


 そんなものを着てしまうと、余計に緊張してしまいそうだ。


「大丈夫ですよ。そんなに濡れてないし」
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