隣の先輩
第14章 雨
 六月も下旬に差し掛かり、残る行事は期末テストと三者面談だけになっていた。


 一応球技大会とかもあるんだけど、あまり考えないようにしておく。


 運動はあまり好きじゃないし。


 でも、それさえ終われば夏休みが待っていた。


 まだ空気はじめじめとしていたが、それでも夏の前触れのように、時折暑い日になることもあった。


 先輩とはあれ以来あまり口を利いていなかった。


 ただ、先輩に会うことがなかったからだ。

 隣同士でも会わないときは本当に会わないんだろう。


 お弁当を開け、卵焼きを口に運ぶ。


 そのとき、目の前の愛理の表情が暗いのに気づいた。


「今日は家族で外食なんだって」


 そううんざりとした顔をしていたのは愛理だった。

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