隣の先輩
「嫌なの?」
私はパンの袋を開けながら、問いかける。
「面倒じゃない? 外食って好きじゃないし。むだに時間かかるし」
そういいながら、彼女は自分のお弁当箱に箸を入れる。
愛理のお弁当を毎日見ていると、本当にそのバリエーションの多さに驚いてしまう。
きっと彼女のお母さんはものすごく料理が上手なんだろう。
私はオレンジジュースを飲むことにした。
そのとき、私の体に影がかかるのと同時に、言葉が届く。
「真由って西原先輩とつきあっているの?」
私は思わず飲んでいたオレンジジュースを噴き出しそうになっていた。
でも、何とか難は逃れて、咳き込むだけですんだ。
だけですんだといってもこれはこれでなかなかツライ。
よりによって、一週間くらい口を利いていないこんな時期に、そんな名前を出されるとは思いもしなかったからだ。
横を見ると、髪の毛を腰の少し上辺りまで伸ばした子が興味津々といった感じで聞いてきた。