My fair Lady~マイフェアレディ~

人は見たくない光景を目の辺りにした時、脳内で別の映像を思い浮かべてその場をしのぐらしい。いわゆる妄想というやつだ。目で現実を見て脳でそれを否定する。
その姿は大抵ボーっとしている。
また彼も例外ではない。

ネオードはぽっかりと口を開けてその光景を見ていた。


「ほらほら、零さないで混ぜろよ」

「む~~ッ…重い…」

「頑張れ。男の子だろう」

「む~~~ッ!!」

「上手い。上手い」


ニコニコの彼と唸りながらゼリー作りをする俺。
彼は黒いエプロンをセクシーに着こなし、俺はクマの絵柄の青色の小さなエプロンを着けている。クマはゼリーの残骸で汚れているのに、彼には染み一つない。
なんだこの差は。同じ場所にいるのに!!
そう考えてフと横を見る。するとそこには、ありえない…と顔に書かれたネオードが突っ立っていた。
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