My fair Lady～マイフェアレディ～
一時間程時間がたっただろうか。コンコンというノックの音に目を覚ました。

「んぅ……？」

俺とカイトは目を覚ます。ドアの方へ目を向けるとおじさんがいた。
おじさんはニコニコと笑いながら俺に話しかけてきた。

「やぁ、気分は大丈夫？」

「……はい」

眠い目を擦りながら答える。カイトも袖で顔を拭いていた。

「お父さんが来てくれたよ」

おじさんの言葉に俺は顔を上げた。眠気はどこかへ一気に吹き飛んでいた。
おじさんが中へ入って位置を移動する。そして扉の外に向って「どうぞ、お入り下さい」と言った。

入って来たのは、スーツ姿の彼だった。
ドクリと心臓が鳴った。結果的にポカンッ…と彼を見上げる事になる。
彼はそれを不思議に思ったのだろう、「ユウ…？」と不安げに瞳が揺れていた。
彼は中に入ると、俺達の二歩離れた距離で止まり見下ろしていた。

「ユウ…大丈夫か…？」

言って、ふわりと彼は微笑んだ。眉は顰められていたが、彼の心配そうな瞳に、今度揺れたのは俺の心。


「ふ…ぇ…」


ぐんにゃりと歪んだ俺の顔に彼とカイトがビクリと肩を揺らした。

「パパぁん…！！」

両手を延ばすと直ぐに彼は俺に近づいて俺を抱き上げた。ぎゅっと彼の肩に頭を預けてスーツを握る。

それからわんわん泣いて、カイトと彼は苦笑していた。

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