My fair Lady~マイフェアレディ~
「おい、お前服はどうした?随分セクシーな格好じゃねーか」
彼が冗談交じりの言葉を出し、俺はぐずぐずと鼻を啜る。
おじさんは俺達の様子を微笑みながら見守っていた。
「服の方は一応洗っておきました。お子さんの怪我は先程お話した通りなので心配はありません」
「どうも。お世話になりました」
「いえいえ。坊やも大変だったね。……お家でいっぱい甘やかしてもらいなよ?」
「…はい」
俺は涙でぼやける視界の中、おじさんに返事を返して、また彼の肩に顔を埋めた。
「じゃあ、俺も帰るわ。じゃあなユウ!またな!!」
「ありがとな」
「いいえ!」
彼とカイトは軽く会釈すると挨拶をして別れた。駆け出すカイトに俺は慌ててバイバイと言いながら手を振った。カイトも笑いながら振り返してくれた。
そういえばリリーさんに早く帰って来なさいって言われてたっけ。外はきっと真っ暗だろう…悪い事しちゃったな…。
俺は今度何かお礼をしようと考えながらそのまま彼にしがみ付いていた。
彼はおじさんから俺の服を受け取り、縋りついている俺に時々声をかけたり腕を揺らしたりして慰めてくれていた。