My fair Lady~マイフェアレディ~
どこか切なそうに彼は呟いた。
細められた瞳には悲しみさえ、映し出されていた。


「うん」

俺は彼の目を見たまま答えた。そうしたら彼の目から悲しみは消えて探るような目つきで俺を見た。

「そうか」

彼はそう呟くと、俺を剥がした。

「パパン…」

「ユウ」

俺が声をかけようとすると、彼はそれを遮って言葉を被せた。

「明日は、ピクニックに行こうか」

「ピクニック?」

「ああ、久しぶりにな…」

「ネオは?」

彼はニコリと笑った。張り付いた笑みではない。

「ネオードも誘おう。」

「うん!!」


俺は彼が元の様に笑った事が嬉しくて、笑顔が自然と零れた。
そして、ネオードが帰ってきて、その事を伝えた。


ネオードはそれを快く頷いてくれた。


俺は、徐々に姿を現す影に、まだ
目を向けようともしなかった。






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