My fair Lady~マイフェアレディ~

「ユウ…」


ネオードの呟くような声で俺の名を呼ぶ。俺は何か緊張を感じながら「なに?」と答えた。

「その、歌は…ロードが?」

「うん、子守唄に…歌ってくれるよ…?」

「……そうか」

ネオードは息を吐いた。瞬間、緊張が少し解れたように思える。
ネオードは俺の直ぐ傍まで来ると俺の隣に座った。


「なぁ、ユウ」

「ん~?」


俺は歌うのやめてネオードの方へ顔を向けた。しかし、ネオードの視線は俺に注がれていなかった。いつかの、遠い目をしていた。


「それ、どういう歌か知っているか?」

「え?」


「London bridge is falling down,
 Falling down, falling down,
 London bridge is falling down,
 My fair Lady.」


ネオードの歌声。彼よりも低い声。彼の歌はとても痺れるように甘い。けどネオードの歌はどこか
悲しかった。
< 161 / 509 >

この作品をシェア

pagetop