My fair Lady~マイフェアレディ~
「どんな歌なの?」
俺の問いにネオードはすぐに答える。
「人柱の歌さ」
「人柱?」
聞きなれない言葉に俺は首を傾げる。ネオードは無表情のまま続けた。
「生贄のことだ」
さわりと風がやわらかく吹いた。
少し寒いのは、今聞いた言葉のせいなのだろうか。
「いけ…にえ…?」
「そう、My fair Lady『マイフェアレディ』…美しい女を意味する」
俺は歌っててそんな事、一度も気付かなかった。歌詞に気をとめなかったし、そんな意味をするようにも思えなかった。
「全然、そんな感じしないよ…?」
「……ああ、そうだな。お前の歌声は優しいからな」
俺の素直な感想にネオードの顔がくしゃりと笑った。笑った顔なのに、俺には痛みを耐えているように見えた。