My fair Lady~マイフェアレディ~
俺はその様子をリアルに想像してしまうと、ブルリと鳥肌を立たせた。
俺はまだ姿が見えない内に逃げてしまおうと野苺を持って立ち上がった。
俺の思考の中で呻き声の正体は勝手にゾンビと断定されてしまっていた。
だから、あのノロマな怪物になら逃げられると思ったのだ。

だが、それは大きな間違いで。
俺は野苺の籠を持って立ち上がると、すぐにその籠を落としてしまった。
ドサッ!と籠は落ちた反動で赤い実が宙を舞った。
目の前に男がいる。

まさにゾンビという言葉がぴったりだと思った
しかし、目はギラギラとしていて荒く呼吸を繰り返している様はゾンビとはかけ離れいる。
げっそりとした頬はもう頬骨が浮き上がっており、薄い皮が所々破けていて、それと同様に服も何もかもがボロボロだった。
そして何より目を見張ったのが、腕が無かった。
片方の二の腕が消えている。

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