My fair Lady~マイフェアレディ~
ゆらりと男が動く。残っている腕が俺に向かって延ばされた。

「ぁ……!!」

俺は小さな悲鳴を上げた。脳裏に浮かぶのは、帰り道に襲われた時の光景。
あの男と目の前の男が重なる。

「ぱぱん…ネオ…っ!!」

俺は二人の名前を呼ぶ。瞬間男がピクリと反応した。

「ね…お…?」

「え?」

この男はネオードに反応したようだった。

「ネオードの…事か…?」

「知ってるの?」


枯れた潰れたような声が確かにネオードと言った。
俺は恐怖を忘れて、男をジッと凝視した。
男はガタガタと身体を震わせていた。
そして空きっぱなし口をブルブルと揺らしている。
口の中は乾燥しきっているのか舌が白くなっていた。

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