My fair Lady~マイフェアレディ~
男は ユラユラと揺れながら俺の三歩前まで来た。
そして崩れるようにドサッと腰を降ろした。

「お前……」

何か言おうとする男に、何か水分を取らせなくてはと思い、俺は落ちた大粒の野苺を数個手に掴むと「食べて。少しでも水分を取って」と渡した。
男はコロコロと手の平に転がる数個の野苺をジッと見た後、ガバッと一気に全て口の中に煽った。

少し酸味が効いているのか、カラカラの喉に沁みたらしい。眉間に皺が寄った。
それでも先程よりは聞き取りやすい声で「すまねぇ」と言った。
俺はまだ、男に警戒していたので男から二歩ほど離れてそこに座った。

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