感情の樹


『"感情の樹"って、知ってる?』


「感情」という言葉に
ぼくの耳はピクリと反応した。
箸を休め、聞き返した。


『何それ? 知らない。』


『そうよね…』


各地旅をしてまわってきた
ぼくに期待をしていたのか、
残念そうに肩を落とす。

ぼくもその話が
気になるので
興味津々な瞳で
ローラを見つめた。


『昔小さい頃、読んだ本に書いてあったのを思い出したんだけど…。 世界のどこかに、"感情の樹"と名付けられた樹があるんだって。 その樹は生命力が強くて、千年は生きるらしいの。』


ぼくは、ローラの話に
耳を傾ける。


『"感情の樹"は、感情を失った人々に、自分のエネルギーを分け与えて、その人々の感情を取り戻すんだって。』


…。
そんな樹が、あるのか。

そしてローラは
ぼくを見て言った。


『それでね、私、ケイトが育ててる樹が、もし"感情の樹"だったらすごいなって思って』


…え。

ぼくは、少し焦った。


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