さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
殺されるのではないか、そう思ったが、最初に話しかけた壮年の男がもう一度話しかけてきた。
「正直に答えなければ、皆死ぬことになる」
はっとして、レイラは生唾を喉に流し込んだ。
皆というのは、自分と姉のことだけではないはずだ。
「家族を助けたいか?」
「は、はい・・・」
大きな声で返事をしているつもりなのに、
緊張でうまく息が吸えない。
何もかもがわからないが、たった一つ、
この嗄れ声の男が自分たちの命運を握っている事だけは理解できた。
・・言わなくちゃ、
ちゃんと、言わなくちゃ!
レイラはがちがちと音をたてる歯で舌を噛まないように注意して、
唇を動かした。
「お願いです。皆を助けてください」