さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~
心臓が破裂しそうだ。
こみ上げてくる嗚咽を必死に押さえつけ、返事を待つ。
瞬きするほどの時間が、永遠にも感じて、レイラはもう一度唾を飲み込んだ。
「無理だな。盗賊は縛り首と決まっている」
無慈悲な男な言葉に、レイラの瞳が大きく見開かれた。
「と、うぞく?」
「まさか知らなかったのか?
お前の父は、盗賊の首領だ。
数ヶ月に一度、街を荒らしまわっては大勢の人間を殺していた。
今夜は、やっとのことで罠にかかり捉えることができたが、こちらの被害も甚大だ」
男は眉間にしわを刻んでレイラを睨みつけた。
・・盗賊?
今、盗賊と言ったの?
男たちの持っている灯りが、じりじりと静かに燃えている。
そんな馬鹿な話はなかった。
父も姉も、他の仲間たちも、朝から晩まで畑を耕し、
慎ましやかな生活を送っているのだ。