さらわれ花嫁~愛と恋と陰謀に巻き込まれました~

真実がどうであれ、家族の命以上に大事なものなどない。

暗闇に、みんなの笑った顔が浮かび上がる。

目の前にぶら下げられた細い細い糸にしがみつく以外、レイラには道はなかった。


「お、お願いします」


小さな体をさらに消えそうなほど折りたたんで、頭を下げた。

裸足のままのつま先が、視界に映る。


レイラの薄汚れた足の甲に落ちた透明な滴が、泥と混ざって茶色く濁り、足に広がる。


みんなを助けられるなら、なんでもしよう、レイラがそう心に誓った時には、

数人の男たちが牢に入り、彼らに乱暴に腕をひかれていた。


「出ろ!」


ふわふわと心が地につかないまま、レイラは命じられるまま足を踏み出した。


天井から滴り落ちる水滴が、彼女のすぐ足元の床で静かに跳ねた--。







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