特攻のソナタ
特攻平和会館は、沖縄戦の特攻基地となった鹿児島県の知覧町にあった。
数十年前、この場所から死地へと飛び立ったあの人のことを思うとそれだけでいたたまれなくなった。
館内にはいると、まず目に飛び込んできたのが特攻機の写真。爆弾を抱えて片道だけの燃料で飛び立つ。生きて帰ってこれる可能性はほとんどゼロに近い。まさに決死の覚悟だったのがわかる。
続いて、特攻隊員の遺影がズラリと並ぶ。
私はとうとうここに来てしまった。見てはいけないものを見るかのような眼差しで、一人一人の遺影を目で追っていく。
「あった・・・」
吉村健次郎少尉と書かれたそのセピア色の顔は紛れもなくあの人のものだった。
「健次郎さんって言うのね。」
自分の初恋の男性なのに、下の名前を知らなかったことに今更ながら苦笑して見せた。
時間だけがそこに止まっていた。私は彼の笑顔に吸い込まれそうになるのを必死に堪えていた。
そして、視線を下へおろしたときだった。
「あっ・・・」
そこには紛れもなく彼の遺書がしっかりとした筆跡でしたためられていた。
数十年前、この場所から死地へと飛び立ったあの人のことを思うとそれだけでいたたまれなくなった。
館内にはいると、まず目に飛び込んできたのが特攻機の写真。爆弾を抱えて片道だけの燃料で飛び立つ。生きて帰ってこれる可能性はほとんどゼロに近い。まさに決死の覚悟だったのがわかる。
続いて、特攻隊員の遺影がズラリと並ぶ。
私はとうとうここに来てしまった。見てはいけないものを見るかのような眼差しで、一人一人の遺影を目で追っていく。
「あった・・・」
吉村健次郎少尉と書かれたそのセピア色の顔は紛れもなくあの人のものだった。
「健次郎さんって言うのね。」
自分の初恋の男性なのに、下の名前を知らなかったことに今更ながら苦笑して見せた。
時間だけがそこに止まっていた。私は彼の笑顔に吸い込まれそうになるのを必死に堪えていた。
そして、視線を下へおろしたときだった。
「あっ・・・」
そこには紛れもなく彼の遺書がしっかりとした筆跡でしたためられていた。