春夜姫

「あそこです」
 狩人が立ち止まりました。手で指し示したその先にみすぼらしい小屋がありました。

「姫様」
 狩人は声を潜めて言いました。
「ここからは、お一人で」

 春夜姫には狩人の声が震えているのがわかりました。
「ありがとう、狩人さん。気をつけてお帰りになって」
 春夜姫はにっこりと笑い、不気味なその場所に向かいました。


 大きな古い木はお日様の光を隠し、魔女の住む家の辺りはより暗く、春だと言うのにうっすらと寒気を感じます。春夜姫は心を落ち着かせ、魔女の家の戸を叩こうとしました。
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