龍馬! ~日本を今一度洗濯いたし候~
福岡藤次は、「船はどげんする?」ときいた。
この件も五分でかたずいたという。薩摩藩を保証人として大浦お慶から一万二千両を借りて手にいれた大極丸の借金を、土佐藩が肩代わりすることになった。
土佐藩との交渉もおわり、亀山社中が「海援隊」と改名された。
紀州人陸奥陽之助が、「妙な気持ちだ」と龍馬にいうと、龍馬は、
「そのこころは安心やら馬鹿らしいやら」とおどけた。
陸奥は大笑いした。
……”世の生物たるものみな衆生なればいづれを上下とも定めがたし、今生の生物にしてはただ我をもって最上とすべし。皆が平等な個人。デモクラシー。新しい国づくりはライフワークへ。万物の時を得る喜び”……
……”戦争回避、血を流してなんとするのか”……
……”世のひとは我を何ともゆえばゆえ。我なすことはわれのみぞ知る”……
「おれはこれでひっこむきに」
龍馬は新政府にくわわらなかった。
陸奥は「冗談ではない」と驚いた。龍馬は薩長連合を成し遂げ、大政奉還を演じ、新官制案をつくった。当然、新政府の主軸に座るべき人間である。なのにひくという。西郷隆盛や大久保利道や岩倉具視や木戸考允(桂小五郎)にすべて譲ってしまうという。
「すべて西郷らにゆずってしまう」