龍馬! ~日本を今一度洗濯いたし候~
 龍馬は首をひねり「さぁ、どれほどですろうか。じゃきに、公方様ほどのひとだから何万両くらいですろう?」
「そんなことはねぇ。まず月に百両ぐらいさ。案外少なかろう?」
「わしらにゃ百両は大金じゃけんど、天下の将軍がそんなもんですか」
 麟太郎一行は、佐賀関から陸路をとった。ふつうは・籠にのる筈だが、麟太郎は空の・籠を先にいかせ後から歩いた。暗殺の用心のためである。
 麟太郎は、龍馬に内心をうちあけた。
「日本はどうしても国が小さいから、人の器量も大きくなれねぇのさ。どこの・でも家柄が決まっていて、功をたてて大いに出世をするということは、絶えてなかった。それが習慣になっているから、たまに出世をする者がでてくると、たいそう嫉妬をするんだ。
 だから俺は功をたてて大いに出世したときも、誰がやったかわからないようにして、褒められてもすっとぼけてたさ。幕臣は腐りきってるからな。
 いま、お前たちとこうして歩いているのは、用心のためさ。九州は壤夷派がうようよしていて、俺の首を欲しがっているやつまでいる。なにが壤夷だってんでぃ。
 結局、尊皇壤夷派っていうのは過去にしがみつく腐りきった幕府と同じだ。
 誰ひとり学をもっちゃいねぇ。
 いいか、学問の目指すところはな。字句の解釈ではなく、経世済民にあるんだ。国をおさめ、人民の生活を豊かにさせることをめざす人材をつくらなきゃならねぇんだ。
 有能な人材ってえのは心が清い者でなければならねぇ。貪欲な人物では駄目なんだ。まずは藩だとかではなく日本人として考えろ! それが第一でい!」

  
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