龍馬! ~日本を今一度洗濯いたし候~

  麟太郎が長崎にいくと、「長崎には長州藩士たちがはいってきていて、麟太郎を殺す算段をしている」という情報がはいった。
 二十六日、長州藩士たちが蒸気船を訪ねてきた。龍馬と沢村が会った。龍馬はいつでも刀を抜き、斬り殺せるように身構えていた。
「貴公がたは、何のようで先生に会見を希望しとっじゃきにか?」
「軍艦奉行殿にわれらの本意を申しあげとうござりまする」
「じゃきに、本意とはなんですろう?」
 龍馬は今にも刀を抜こうかと、鋭い眼で相手を睨む。
「長州藩は勅命を奉じ、下関を通る外国船を砲撃したのでござる。それが長州藩追放とは納得いきません」
「幕府が異人をそそのかして下関を攻撃させたっちゅうのは嘘じゃがに。先生は米国や英国に交渉して攻撃をとめようとしちゃがてすろう」
 長州藩士たちは「拙者どもは明後日帰国しますから、それまでに勝先生に会いたいのです」と嘆願した。龍馬はそれを勝麟太郎に伝えた。麟太郎は気安く答えた。
「明日は西役所にいって機械買い上げの話をしなくちゃならねぇから、明後日の暮れ六つ(午後六時)に来るがいい、と言ってやれ」

  三月六日、麟太郎は龍馬を連れて、長崎港に入港し、イギリス海軍の演習を見た。
「まったくたいしたもんだぜ。英軍の水兵たちは指示に正確にしたがい、列も乱れない」 その日、オランダ軍艦が入港して、麟太郎と下関攻撃について交渉した。
 その後、麟太郎は龍馬たちにもらした。
「きょうはオランダ艦長にきつい皮肉をいわれたぜ」
「どがなこと、いうたがですか?」龍馬は興味深々だ。
「アジアの中で日本が褒められるのは国人どおしが争わねぇことだとさ。こっちは長州藩征伐のために動いてんのにさ。他の国は国人どおしが争って駄目になってる。
 
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