初雪の日の愛しい人[短編]
 ――確か、小学校2年の冬だった。

 その頃あたしは、真っ赤なランドセルを背負って、隣を歩くミシェルと手を繋いで毎日学校へ通っていた。

 ミシェルは、3歳のときに隣の家に引っ越してきた女の子。
 両親共にアメリカ人で、仕事の都合で引っ越してきたときいていた。

 あたしはミシェルの綺麗な金髪と青い目に憧れた。
 ミシェルは、あたしの細い黒髪と茶色い目に憧れた。

 ――あたしたちは仲がよかった。
 毎日のように遊んでた。

 やがて小学校に上がって、ミシェルは他の子と違う外見から、たびたびいじめられるようになった。
 そのたびにいじめっこを追い払うのはあたしの役目だった。
 そしてそのあと、あたしは彼女に必ずこう言う。

「金色の髪も、青い目も、すーっごく綺麗。ミシェルはおかしくないよ、だってあたし――」

 ――ミシェルのことが大好きだから。

 今思えば、初恋は同性のミシェルだったのかもしれない。
 それくらい、あたしはミシェルが好きだった。
 絶対に守るんだと思っていた。

 …だけどあたしは、彼女を守ることはできなかった。
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