現実アクションゲーム
「蓮」


冷静に拓馬が呼びかける。


「……何だよ」


以前として声が震えている蓮。


「認めたくない気持ちはわかる」


「……よくできた話だ。ハハハ。だけど、俺は信じねぇ」


「じゃあ、証明しようか」


電源をオフにでもする気なのだろうか。


「やってみろよ」


思わず声が裏返った。


「蓮。なぜ、お前……」


「何だよ?」


「瞬き、してないんだ?」


……何?


慌てて目元に手を当てる蓮。


「……うわぁああ!」


発狂しそうになった。いや、発狂してしまったかもしれない。


瞬きしてなかったのか……?


俺も瞬きしてなかったのかよ!


「どうなってんだ!どうなってんだよ、これ!」


一緒だ。地雷ゾーンの近くで出会った、気味のわるいお婆さんと……


拓馬も、瞬きをしていなかった。


あのとき、自分で思った。


瞬きをしない人間なんていない。


そのときだった。気球は、すでにかなり上空へと飛んでいて、もう城が目の前に見えていた。


拓馬が城の門前に飛び降りる。蓮も無意識に、それに続いた。
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