妖怪愛物語
そんなこと一度も考えたこと無かった。
でも、私も小さいとき妖怪は皆に見えているものだと思って、おじいちゃんに聞いたことがあったっけ。
そのときも、おじいちゃん、桜さんと同じようなこと言ってた。
『わしら退治屋にとって妖怪は仲間であり、そして敵である。でも、杏里の友達にとっては仲間でもなく、ましてや敵なんかでもない。怖い存在で、消えてほしい、そんな存在なんじゃよ。・・・だから、妖怪が見える杏里は特別、つまり怖い存在になってしまうんじゃ。そんな悲しい世界だからね、ここは』
あのときのおじいちゃんの顔は今でもはっきり覚えている。
悲しげで、痛々しい笑顔で、まだ何にも分からない私にそう告げた。
それからは私は、妖怪が見えることを隠してきた。
怖い存在にならないために。
でも、きっと桜さんはそれをしなかったんだろう。