赤の世界
そうしてその夜も夢を見た。
赤い世界の街並み。
今日もみぞれ雪の天気。
夢の住人がみんな
赤い傘をさして歩いている。
その中にひとり
傘をさしていないコがいた。
道路の真ん中に立つ
赤いコートを羽織った
後姿の女のコ。
(危ないし、濡れちゃうよ?)
心の中でそう思った…気がする。
夢の世界だけあって曖昧だ。
けれどそのコの髪が
サラサラと揺れたのは
はっきりと覚えてる。
(シオリなの?)
どうにも顔がよく見えない。
(顔を、見せて?)
夢はそこまでで終わった。
願いが届かず
騒がしい目覚ましの音が
俺を現実へ引き戻したから。