赤の世界
 
一人になると
自然とさっき見た夢が浮かんだ。

(今日は目立ったコがいたな…。)





あれはシオリ…
だったのだろうか。

俺の好きな長い髪が揺れていたし
昨日はシオリと決別したから
頭の中にシオリのことが浮かんでいたのかもしれない。

何かを考えながら眠ると
夢に見るなんてよく聞くけど
こういう事なのだろうか。





俺は夢にまで見る程
シオリの髪がすきだった?

髪ばかり好きだったから
シオリの顔は見えなかった?

納得出来るようで
納得出来ないようで
どうもすっきりしない。

だけどこれ以上
考えが浮かんでこない。





考えに息詰まっていると
景が部屋へ戻ってきた。

「母さんがおにぎり置いてってた」

「おばさんもう仕事行ってんの?」

「父さんもね」

「早…っ」

「前泊まった時もそうだっただろ」

「そうだっけ?」



話をしていると
おにぎりはあっという間に
食べ切ってしまっていた。


 
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