赤の世界
考えても考えても
彼女の居場所が分からない。
なんて役立ずな頭だろう。
なんて無能な頭だろう。
君を思い出せない。
忘れたくなんてなかった。
どうして君を忘れたんだろう。
夢を見るようになったのは
交通事故の後だった。
欠落感に襲われたのは
交通事故の後だった。
(記憶喪失…?)
まさか、ね。
だって両親も景も
そんな事は言わなかった。
事故後運ばれた病院でも
そんな単語聞かなかった。
―「意識もはっきりあって」
―「大丈夫ですね」
俺の前では確かに
そう言ったじゃないか。
ズキン。
ズキン。
頭が痛い。
あれは嘘だったの?
どうして嘘をつくの?
忘れたくなんてないのに。
忘れたままでいたくないのに。