Blood†Tear
破片が飛ぶ。
木葉が舞う。
小鳥が羽ばたく。
しかし、鮮血は散る事はない。
鎌が半分以上木の幹に突き刺ささり、ミシミシと音を立てて倒れていった。
獲物を仕留めかねたクレアは舌打ちをすると、鎌を肩に担ぎ振り返る。
身を屈め一瞬の隙をつき逃げ出したコウガの姿が遠くににあった。
彼は穏やかな表情で彼女を見つめている。
未だに武器を手にしない彼に苛立ちを抱いたのか、彼女は拳を握り鋭く睨む。
「…クレア、俺は君を信じてる…だから、次の攻撃を避ける気はない……」
賭けだった。
生死をかけた、賭けだった。
正気を失う彼女にかけるなんて、馬鹿げた行動なのかもしれない。
殺す気でいる彼女の攻撃を真っ正面から受けるなんて、このな選択間違っているのかもしれない。
。
だけど、彼女を信じたかった。
否、彼女を信じなければならないと、護らねばならないと、そう思ったんだ。
だから、彼女の全てを受け止める為、賭けに出た。
優しい声音で言い微笑んだ彼に対し、クレアは何を言っているのかと鼻で笑う。
鎌を握りなおすと、何の迷いもなく地を蹴った。
遠く離れたコウガとの距離が着々と縮まってゆく。
掲げた鎌の鋭い刃は煌めいた。
殺気に満ちた瞳で睨まれているのに、なのに彼は、何の恐怖の色も浮かべずに、只々優しく微笑んでいる。
「あぁぁーー!!」
「俺はお前を信じる!だからお前も俺を信じろ!クレア!!」
彼の言葉なんて、今の彼女には届かない。
差し伸べたられた手にも気づく事などない。
彼の目の前に辿り着いた彼女は鎌の柄を握り締め、力の限り振り下ろす。
戸惑いも躊躇いも何も無い。
逃げようとも避けようともしない彼に、只本能のままに彼女は鎌を振り下ろした。