魅惑のヴァンパイア
*   *   *

「申し訳ございません。ヴラド様は今お出掛けになっていて……」


「知っている。だから来た」


ピーターは、執事が止めるのも聞かずにズカズカと中に入っていった。


「子猫ちゃんはどこに?」


ピーターの問いに、バドは一瞬言葉を詰まらせた。


ピーターの目的がシャオンであると分かったからである。


「シャオン様なら……寝室においでですが?」


「よし、案内しろ」


「それはできません」


バドが前に立ちはだかった。


「なぜだ?」


 ピーターの眉間に皺が寄る。


――早く……一刻も早く会いたい。


「寝室にはお入れできません。……ですが、かわりにシャオン様を呼んで来ましょう。こちらでお待ちを」


 客室に案内されたピーターは、大きなソファに腰を掛けた。


――ふん、客室なんて面倒臭い。


寝室なら、そのままベッドに押し倒せるのに。
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