魅惑のヴァンパイア
「紅茶をお運びしました」


ゾクっとするような目線が後ろからした。


バッと身構えて振り向くと、バドが笑顔で立っていた。


今の視線は、暗殺の時に使う刺殺眼に似ていた。


……この執事、只者じゃない。


背中に嫌な汗が流れていた。


バドは、テーブルに紅茶を置くと、虚ろな表情の少女に目をやった。


すると、シャオンはたちまち覚醒し、「あれ? 私……」と周りをキョロキョロし出した。


「シャオン様の好きなローズティーをお持ちしましたよ」


バドが優しい笑顔で話し掛けると、シャオンも安心して「わぁ! いい匂い。ありがとう」と微笑んだ。


僕の眼力を一瞬で解くとは……。


さすがヴラドの執事と言うべきか。


執事にしては勿体ない程の力を持っている。


……これは、一先ず退散した方が懸命かな。
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