魅惑のヴァンパイア
ピーターは席を立って、客室から出て行こうとした。


その後ろ姿に向かって、思わずシャオンは声を出した。


「お願い! ヴラドには言わないで!」


 ピーターはゆっくりと振り返ると、憐れむような瞳でシャオンを見つめた。


「言う、言わないは僕の自由だ。君にとやかく言われる筋合いはないし、興味もない。それに……どんなに言いたくても、会えなければしょうがない」


 シャオンは言葉に詰まり、それ以上何も言えなかった。


「お邪魔したね」


 ピーターは最後にそれだけ言うと、執事と玄関に向かった。


二人だけになると、話題は政治の話へと移行した。


「王が死んだらしい」


 唐突にピーターは言ったが、執事は驚いていなかった。


「そうらしいですね」


「王が死んだことと、ヴラドが行方不明になったことは関係あるのか?」
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