魅惑のヴァンパイア
「……ただ一つ言えるのは、ご主人様は特別なお方だということです。直接ご主人様に聞いてください。きっとピーター様にはお答えしてくれるはずです」


 真っ直ぐに見つめるその瞳には、何もかも知っているようだった。


そして、形式的には答えられないが、ピーターの問いを暗に肯定するような瞳だった。


「……そいつに会えないから聞いているんだよ」


 八方塞がりではあったが、霧が晴れたようなすっとした清々しさを感じた。


「ありがとう、バド」


 執事が頭を下げたのを見届けてから、光沢の入ったオレンジ色のマントを風に靡かせた―――
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