魅惑のヴァンパイア
「慎重にもなるさ」


 旧知の友と二人きりになると、溜まっていた疲れが顔に出ていた。


「王が死んだんだってな」


「ああ」


 ヴラドは窓枠に腰を降ろし、カーテンの隙間からほんの少し見える夜空を見上げた。


「……お前、王子なんだろ?」


 突然の問いに、表情一つ変えることなくワンテンポ置いてから「ああ」と小さく言った。


 ――長年秘密にされてきた重大事項を、こんなに簡単に白状されると逆に戸惑うな。


ピーターは勘付いていたこととはいえ、多少の動揺は隠せなかった。


「お前の失踪事件と、王の暗殺は関係があるのか?」


「……まぁな」


 ヴラドは意を決したように、空白の数日間の出来事を話し始めた。

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