魅惑のヴァンパイア
『お前は何ゆえここに来た。生きた者が足を踏み入れれば、正気ではいられぬはずだぞ』


「はい……。危うく脳が溶けて、身体ごと闇に吸い込まれてしまいそうになりました」


『常人の精神力では持つまい。さすがあの方の子孫だな』


 顔が靄に隠れて見えないが、『あの方』と言った時に、嬉しそうに微笑んだのは分かった。


「私は死の呪いを解いてもらいたく参上しました。どうかヴァンパイアと人間が愛することを禁じる呪いを解いてはいただけないでしょうか?」


 死界の女神は、ヴラドの願いに口を閉ざし、値踏みするようにじっとヴラドを見つめた。


『わらわは死の呪いなどかけてはおらぬ。ヴァンパイアと人間が愛することを禁じてなどおらぬ。

わらわはその逆を行った』
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