魅惑のヴァンパイア
「……真に愛する者同士に子供が授かるのは有難いことです。しかし最愛の人を亡くす苦しみ、子供を育てられない苦しみはどれ程のものか、あなたは考えたことがあるでしょうか?」


 死界の女神はヴラドの真っ直ぐな目を見つめた。


『……あるとも。なぜならわらわは人間で、愛する人はヴァンパイアの王だったからだ』


 辺りは静寂に包まれた。


もっとも、ヴラドと死界の女神以外この世界には存在しておらず、二人が口を噤めば自然と音はなくなるのだが。


 しかし、単に会話が途絶えた静けさというよりも、もっと鋭く緊迫した静寂だった。


 ヴラドが問いを発する前に死界の女神が語りだした。


 全ての始まりの物語を……。

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